一般社団法人とNPO法人の違い
一般社団法人もNPO法人も、非営利を目的とした法人という意味では共通します。では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。相違点は、わかるようでわかりにくく、そのためどちらの法人を設立・運営していくべきか、悩む人もまた多いようです。
多くの人に参加してもらうのか否か
一番大きな違いは、社員となる条件設定の有無ではないでしょうか。一般社団法人は、定款に定めることによって構成員たる社員となる条件を設定することが可能です。対して、NPO法人は来るものを拒まず、法人の目的に賛同した誰もが会員となって、一緒に活動していくための法人であって、定款に条件などを定めることは原則的にできません。
多くの賛同者とともに運営していくという性格は、設立時に最低必要となる社員数の違いにも表れています。一般社団法人は2人の社員がいれば設立が可能ですが、NPO法人は10人以上の社員を必要とします。
公益目的以外に共益目的の設立が可能か否か
一般社団法人であれば、公益目的以外にも、同じ趣味の者同士の親睦を深める共益を目的とした法人も設立することができます。これに対して、NPO法人は公益目的のみ認められ、共益的な目的での設立はできません。
設立に行政庁の認証が必要か否か
一般社団法人は準則主義をとり、定款の認証と法務局での設立登記を済ませれば設立することができます。これに対して、NPO法人は定款の認証は不要であるものの、設立時に行政庁の認証手続きが必要となります。認証のために、一般社団法人と比較して「設立趣意書」や「事業計画書」など、多くの書類を作成しなければなりません。さらに、縦覧期間や審査期間など、認証手続きに数カ月を要します。
設置が必要な役員数の違い
一般社団法人は、最低限、理事1名を設置すれば設立・運営が可能な法人です。これに対して、NPO法人は理事3名以上、監事1名以上を設置する必要があります。
さらに、NPO法人はそれぞれの役員につき、配偶者や3親等以内の親族が1/3を超えて含まれてはいけないという決まりがあります。親族同士でNPO法人を設立することは、この人数制限があるため比較的難しくなります。一方、一般社団法人にはこのような制限がありませんので、夫婦2人で設立することも可能です。
事業報告書の提出が必要か否か
NPO法人は、毎事業年度終了後3カ月以内に、事業報告書その他の書類を行政庁へ提出しなければなりません。この書類の中には、財産目録や貸借対照表、収支計算書なども含まれます。提出された書類に基づく情報は、市民に対して公開されます。対して、一般社団法人は官報などに貸借対照表を公告する必要はありますが、株式会社と同様の手続きで済むために比較的容易に行なうことができます。